……あちゅい




なんしか、今年はとってもあちゅちゅで、

夏休みの進さんたちのれんしゅーも、

すごいごい 大変そうなんだけど。

まねーじゃあさんたちも、ふらふらしてても頑張ってるし、

監督さんも、汗いっぱいぱい かきながらも頑張ってるし。

だからして、せなも ばんばらなきゃいかんのだけれども。

　「セナくんは小学生なんだから」

桜庭さんがね、

『高校生の僕らと同じほど
　たくさん走れたり、重たい物持ち上げられたり出来ないうちは、
　子供扱いされても文句言っちゃあダメなんだよ？』

って、ゆったから あのね？

３０っぷんごとに、くらぶはうすにもどって、

髪の毛アツアツなの、冷房で冷やさないといけないの。

今日からは、お昼からのはね、

ヒル魔くんが昨日セットしてったモニターでしか、

練習見ちゃあ メッてゆわれて。

なんかすごい過保護されてるのー。

これってどー思う？



　　　　　◇◇


　「凄げぇな、過保護って漢字は読めるのか。」
　「そんなの訊いてない〜。」
　「つか、それを俺へ訊くってどうよ。」

正確には“取り付けた”のはグラウンドの様子を収録するカメラのほうで、
ハウスのミーティングルームに元からあったモニターへ、
その映像を取り込めるよう、配線し直しただけなのだけれど。
その調子はどうだと、様子見に来た
子悪魔、もとえ 子ヒル魔くんだったのへ、
さっそく咬みついた セナちびさんであり。

　「桜庭の言い方は大したもんだと思うぞ？
　　実際の話、そんだけの体力がない奴をあの炎天下に連れてくのは、
　　連中でなくとも忍びないと思うだろうし。」

　「ヒル魔くんだって、葉柱さんトコで…。」

やっぱり練習に付き合ってるじゃないかと言い返しかかったが、

　「俺はお前よか体力あるし。」
　「う…。」
　「それに、ミストファンとか文明の利器をあれこれ持ってるし。」
　「うう…。」

何より、この俺へ言い合いで挑もうと思うところの判断力の低下こそ、
暑さ負けしかけてるいい証拠だと。
何でかそんな理由へ胸を張る金髪坊やの言いようへ、
ふしゅんと萎れたセナくんではあったれど。

　「そんな暑いんなら、
　　午後の練習は残念だけどって、付き合うの辞めて帰んな。」

畳み掛けるように言うヒル魔くんが、
実は優しい心配からそうと言ってくれているのは何となく判ってる。
秋になって始まる大会だって、まだまだ凄い暑い中での試合で。
そっちに付き合って目一杯応援しなくてどうするかって。
そう言ってくれてるのも判ってる。
でもね、あのね？

　「……やぁの。」
　「ああ？」

あのねあのね？　進さんの大きい手でよしよしって、
頑張ったなって撫でてもらったらね、
しゅわしゅわって しんどかったの、
あっと言う間にどっか行くもの。

　「だから、練習が終わるまでは待ってるの。」
　「おいおい。」

困った奴だね、それはもしかして立派な我儘だぞ。
でもまあ、そういうことなら、俺も加勢したくなっけどよと。
いい根性してやがると苦笑したヒル魔くん、

　『……それって進がこぼしてたのとお揃いだ。』

応援されてる側だとはいえ、あんな小さい子供には苛酷な環境なのにも違いなく。
首に縄かけてでも、いやそこまでせんでも楽勝だろうが、
何でもいいから家へ帰れと言い聞かせるべきなんだろけれど。

　『あのふわふわな笑顔を見ると、
　　練習で蓄積した潜熱みたいな暑さばてが、さあって昇華するんだと。』
　『……ほほお。』

それは間違ってもライバル校には漏らせん情報だな。
あ、そうだね、セナくんにもガードつけなきゃね。
そうじゃなくって…というゴチャゴチャがあったのはさておいて。

　“早くれんしゅー、終わらないかなぁ…。”

モニター越しでも暑そうなグラウンドの風景を見つつ、
う〜むむと時計との我慢比べをするセナくんだったりしたそうです。




　　　〜Ｆｉｎｅ〜　　11.08.17.

　　＊バカップルな二人へ10のお題より
　　　お題ものじゃあありますが、
　　　ルイヒル側でも書けそうなので、
　　　進セナものじゃないものも混ざるかも知れないの、
　　　今からいうのもナンですが どかご容赦を。

　　＊それにつけても、
　　　日本の夏はこれからずっとこうなんだろか。
　　　だったら学生スポーツの祭典は、
　　　こぞって秋か春へ引っ越した方がいいぞ。
　　　何なら本大会は雪のない地方の冬とかさ。
　　　そうでもせんと、衰退に拍車が掛かるような気さえします。
　　　いやいや、若いもんは まだまだ捨てたもんじゃないですか？
　　　でも、熱中症はそういうの関係ないですしね。う〜ん

めーるふぉーむvv

or ＊＊